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或る日。取り留めのない会話を何時間もして過ごした。
また或る日。彼は泣き噦る私を抱きしめ、言葉もなくキスをいくつも落とした。
昨々晩。身体中に彼の体温を感じ、言い様のない幸福に酔いしれながら眠りについた。
これ迄。彼が私に与えたのは、幸せと安心と、ちょっとのわがまま心。
情
初
彼の目がすき。無感情で光を持たないと称される、何を想っているのか分からない瞳が私を射抜くとき、その瞳の奥の奥にある彼の愛情が視線から注がれる気がするのだ。
彼の唇がすき。私を様々な言葉で彩ってくれるとき、いつも柔らかな彼の唇が震うのを見るだけでは耐えられない。どうせならいっそ、一生彼の唇が震わないように 私の唇で塞いであげようかな、と思うくらいだ。
彼の手がすき。少しずつ私の手を握ることを憶えた手が手繰り寄せるように手を握り、時々きゅっと締めるのが愛おしくてしょうがない。近頃は触れたところから熱を帯びて、どうしようもなく彼への想いが、熱に浮かされ、止められなくなりそうになる。
他にも彼のすきなところを挙げるとキリがないので、取り敢えずは、ここまで。
彼と過ごした11時間は普段よりやはり特別で、隣で過ごす彼はキラキラ瞬いていた。ずっと私の隣で輝き続けてほしいと月に願って、おやすみなさい。
掌
昂
絶
一日中、情欲のみに溺れた生活を一度だけでいいから送ってみたいなあと思っていたのですが、思ったより早くその願いは叶いそうですね。身体が持つ気がしません。勉強、しなくちゃ。
彼との事
彼は私を抱き寄せない。だから、私がいつも彼に抱きつく。それだけのこと。
彼は私をまるでこわれもののように優しくそっと触れる。それは暗闇の中でなにかを探るようにこっそりと、ひっそりとした手つきで。彼に縋り付くように顔を埋めている私の背中に手を回し、程なくして私の髪を一本残らず慈しむようにして頭を撫でる。私がその一連の行為にうっとりと目を細め、心から彼を愛しく思うことを知らずに、彼は私の頭を撫でる。
ただ、それだけのこと。